ファンタジーなんてガラじゃないと思う

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 隣に立っているチンピラ風の更に大きな猫が、 『フーッ!! ボスが握手を求めてるのにお前は無視するにゃか?』といきり立つ。それを見た手を差し出しできた猫が威厳のある声で、 『お前は黙ってるにゃ。もう用事は済んだから下がってろにゃ』と言った。  言われた猫は瞬間しょんぼりしたが、頭を下げるとのっそり歩いて行ってしまった。 『サツキ、アイツは悪いヤツじゃないにゃが、ちと荒いにゃ。怪我はにゃいにゃか?』 「えっと、この通り大丈夫みたいです」  猫が私を運んで来たの? 「えっ、まさか」 『アイツが咥えてサツキを運んで来たにゃ』  なるほど、ゆらゆらしてたあの感じはそうなのか…… 「それはそうと、なんで私はここにいるの?」 『それはサツキが望んだからにゃ』  ……話が見えない。 「私が望んだと?」 『そうにゃ。毎夜、にゃんのぬいと戯れてたにゃ』 戯れたって! スノを毎夜ギュッと抱きしめながら眠るけど、ってなんでそんなこと知ってるのよ? 『にゃんのぬいより本物が良いに決まってるにゃ』  目の前の猫が嫌らしく笑う。
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