{G}

2/4
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
fcb1be0b-d3df-45aa-a813-4107de103863 私、世橋夏鳴。 どこにでもいる普通の女の子。皆さんからは検便って呼ばれてます! 朝は自転車で20分ぐらいかけて通学して。だいたい5分前くらいに教室に到着。 昼休みは教室とか購買とか、天気の良い日はお外のベンチで友達とご飯を食べて。 放課後はブティックやゲームセンターを巡って、日が沈む前にはお家に帰って、手作り晩ご飯。 ゲームしたり漫画読んだり、それで何となく時間を潰して、眠くなったらお布団入って。 私は止まりません。青春を、走っていたいです。 それは特別なことがあるわけじゃないけど、それはそれとして良い時間。 平凡だけど止まらない、きっと幸せな日々。 でも、少年少女というのは今の時代、普通であっても、これくらいの刺激はあるものなんだと思う。漫画とか、私と同じくらいの年の女の子達は皆、何かに煌めき、何かに時めいているのだから。 現実でも、きっとそうなんだ。 だから今。 私は―― 172b0501-2446-4d79-b14c-1cdf3351a47b 【夏鳴】「……はぁ~……」 【金嶺】「……なに、どったのクソめんどそうなため息つきやがって」 【夏鳴】「……金嶺ちゃん」  いきなり怖いこの人は、大槻金嶺(こがね)ちゃん。  放課後はほとんど一緒にいる、私の大親友さん。文句言いつつも、時に跳び蹴りされつつも、何だかんだで私に附いてきてくれる女の子。  ……金嶺ちゃんが声を掛けてくるってことは、もう昼休みになったんだ。ボーッとしてるといつも時間はあっという間だ。勿体ない、授業の先生にも失礼なことをしてしまいました。  しっかりしなきゃ、と思い直す。……のに。 dcb8fa7e-7ca7-4db2-89ea-f8e740364c3c 【夏鳴】「はぁ~~~……」 【金嶺】「ウザい」 【天】「……世橋さん。何だか今日はずっとアンニュイだね。何かあったの?」 【夏鳴】「天くん……えっと、ですね。何と言ったらいいでしょう」  クラスメイトの天くんにも声を掛けられた。……周りからもそう見えちゃってるんだ、だとしたら重症だ。  確かに、憂鬱。……いや、きっと厳密には違う。何よりも先にあるのは。  戸惑い、だ。 【夏鳴】「ちょっと、どうしたらいいのか分からなくって……えへへ、みっともなくてすみません」 【天】「顔も紅いけど、もしかして体調悪いの?」 【金嶺】「体調不良? いやアンタ風邪引くタイプじゃないでしょ」 【夏鳴】「うーん、風邪とかではないですけど……強いていうなら、心の風邪? みたいな?」 【金嶺】「要領得ないんだけど」 【天】「心ってことは……悩み? 僕たちでよければ、聞くよ」 【金嶺】「いや、私はパス――」 【天】「親友でしょ大槻さん、ホラホラ」 【金嶺】「うっさい、馴れ馴れしいんだよ柳泉寺(りゅうせんじ)」 【夏鳴】「ふふ……有難うございます。金嶺ちゃん。天くん」  ……このままでは、周りの人も迷惑を被ってしまう。  そして私自身も、何が何やら、なんだから。  ここは頼れる2人に、打ち明けてみよう。この心の、揺れを―― 【夏鳴】「……初めてのことで。動揺、してまして……」 【天】「……ホントに顔紅いけど……あ、もしかして恋とか?」 【金嶺】「ウゲッ……」 【夏鳴】「あはは、何だか恥ずかしいです。うーん、やっぱり言うのやめようかな~……!」 【天】「はは、そこまで勿体ぶられるともうコッチも退きづらいよ! ババッと言っちゃおうよ。勿論、世橋さんが大丈夫な限りだけどね」 【夏鳴】「え、えっと、ですね」  えっと私ね、と何度か繰り返して、ゴニョゴニョになりつつも。  確かに顔が紅くなってるのも熱さと鼓動の高まりで感じながらも。  私は、友達の2人に。 【夏鳴】「あの……お恥ずかしながら、私――」  初めての出来事を、明かす―― d060d64c-2ffb-43c6-8fe7-453716d462b4 【夏鳴】「――痔を患いました!!!」 【金嶺】「ホントに恥ずかしいヤツじゃん」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!