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1.お別れ
その日、僕は泣いた。あんまり泣き過ぎて息ができなくなるほどに。小学生五年生のクリスマスイブ。ママがケーキを用意してくれた。大好物の唐揚げも山盛りだ。なのに、僕の涙は止まらない。
「圭太、仕方ないのよ。みぃちゃんはもう二十三歳。人間でいうとね、百歳以上なんだって。よく頑張ったって送ってあげましょうよ」
そういうママの目からもぽろぽろと涙が溢れていた。
そう、今朝猫のみぃちゃんが遠い遠いところにいってしまった。まっ白な毛皮はもう温かくない。金色のキレイな瞳はもう開かない。
「みぃちゃん、どこに行っちゃったんだろうね。ねぇママ、僕ね、サンタさんからのプレゼントなんかいらない。だからみぃちゃんにもう一度会いたい。会ってぎゅってしたいよ」
そう言う僕をママがぎゅっとする。
「そうね、またいつかきっと会えるわ。ええそうよ、きっと会える。その時は笑顔で迎えてあげなくちゃね」
僕は泣きながら頷く。パパも僕の頭を優しく撫でてくれた。
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