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しかし、蓮は私が握った手を猫の手に変化させると、私の手に爪を立てて来る。
「痛っ!蓮、何で……?!」
彼の行動の意図が分からず、睨み付けようとする私。
けれど、彼の申し訳なさそうな視線とぶつかった瞬間、私は彼の意図を全て理解した。
(蓮は私に手を離させようとしてる!)
そんなことはするまいと益々握る手に力を込める私。
「絶対絶対離さないから!」
蓮もティーニーも絶対に助けてみせる。
しかし、疲労からか少しずつ握る手に力が入らなくなっていく。
と、こんな状況だというのに蓮が不意に微笑んだ。
「なぁ?聞いてくれる?」
「やだ!聞きたくない!」
聞いたらそれが蓮の最期の言葉になってしまいそうで、私は必死に頭を振る。
でも、蓮は構わず言葉を続けて来た。
「猫ってさ?すっごく執念深いんだぜ?1度気に入ったら、ずっと追い掛けるんだ。……だから、さ?……俺もこいつも、生まれ変わったら、またお前に逢いに行くよ。約束する」
そう告げるや否や、私の手を乱暴に振りほどく蓮。
蓮とティーニーの姿が小さくなっていく。
「やだっ!行かないで!蓮!!蓮!!!」
泣きながら、必死に手を伸ばす私。
しかし、その手は虚しく空を切るだけでーー。
涙に濡れて見つめた地面には、小さな小さな猫の遺体が2体、折り重なる様に倒れていた。
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