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“会って話がしたい”
何度も携帯電話を開いては、友希也からのメールを確認する。
塾に到着してもなかなか現れない友希也に、やはりまだ怒っているのだと心が重くなる。
授業開始直前に教室に入ってきた友希也がすれ違いざま、
「帰りに…」
そう言って席に着いた。
塾を出て暫く並んで歩く。
何気なく見た淳人の腕には、薄くなった擦り傷の痕と細かい傷が入ったベルトの腕時計が巻かれていた。
俯いたままの淳人の手をそっと握ると、ビクッと大きく震えるのが分かって………何だか可笑しくなって笑ってしまった。
「………友希…也?」
「…ごめんな淳人、酷い事言って。淳人の言い分も聞かず俺の言いたい事だけ言って淳人を傷つけた。ほんと、ごめん」
「そんなっ!!友希也は悪くない!あんな…あんなトコ見たら誰だって…」
「シロ先生に言われた。淳人も俺も先生にとっては“大切な生徒だ”って。そう言い切られて何も言えなくなった」
「友希也……」
「シロ先生がさ…淳人は俺の事が好きだって……そうなの?」
「………」
「俺さ、正直今はまだ淳人の事そういう風には見られないけど、淳人が居なくなるのは嫌だし、淳人が俺の知らない奴と仲良くするのはイラつくし、淳人と喧嘩したままなんて我慢できないんだ……だから、さ…」
「うん………ありがと……友希也…」
「泣くなよ~~、淳人~」
「だって…嬉しくて……友希也に絶交だって言われたら俺、どうしようかと…」
「バ~カ。言わないよ、そんな事。ほんと、淳人はバカだなぁ」
「ど、どうせ俺はどうしようもないバカだよ…」
「なぁ……その腕時計の傷、あの時のだろ?ごめん、弁償するよ」
「良いよ…こんなの。気にしなくても…」
「でも……じゃあさ、お揃いの腕時計買おうぜ!これからも一緒に居られる様に」
「そんなの持ってたら、皆が勘違いするぞ…?俺だって…」
「まぁそれぐらいは良いんじゃないか」
顔を見合わせ互いに笑う。
繋いだ手にどちらからともなく力を込める。
搦めた指先を少し擽ったく感じるのは、きっと俺だけじゃない…
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