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第2章:卒業【1】
“卒業式の後、午後3時に教室で待ってる”
携帯電話を握り締めたまま塾まで全力疾走した。
教室のドアの前で何度も深呼吸をして息を整えた後、教室へと飛び込む。
「友希也っ!!」
教室の中はガランとしていて静かだった。
「あ…れ…?」
手首に巻いた腕時計に目を遣る。
針は2時40分を指していた。
「早…過ぎ…た、か?」
額に滲む汗を掌で拭いながら自分の席に座る。
午後の柔らかな陽射しの中、ブレザーの左腕の袖を少しだけ捲くって腕時計をそっと撫でる。
冬休みに友希也と一緒に買った、ベルトが色違いの時計
『お揃いの腕時計買おうぜ!これからも一緒に居られるように』
『そんなの持ってたら、皆が勘違いするぞ…?俺だって…』
『それぐらいは良いんじゃないか』
友希也を好きな気持ちは変わらない
たとえ叶わない想いだとしても、一緒に居られるのなら、傍に居られるのなら…この腕時計が俺と友希也の時を刻み続ける限り、この想いは俺にとって一生の宝物だ。
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