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【2】
隣の列の2つ前の席に座る友希也を窺う様にして見る。
近付いてきたシロ先生に向けて上げられた顔は、斜め後ろからでも判るくらいハッキリと頬が上がっていた。
俺にはしないよな……あんな笑顔…
無意識に強く握り込んだシャーペンの先が、パキッと音を立てて折れた。
手の中の、返された先日の小テストを見る。
可もなく不可もない、そんな点数にシロ先生は
「桐島は本気出せばもっと上を目指せると思うんだけどな~。俺の授業、解り難いか?」
と苦笑し、友希也には
「なあ、淳人。お前もうちょっと本気で先の事を考えろよ。シロ先生だって言ってただろ?」
と真剣に言われた。
解ってる。
俺にだって、そんな事は解ってる。
でも、どうしても…この想いを抱えたままで “頑張る” なんて事はできない…
誰も居ない教室で、答案用紙を握り締めたままの拳を額に当てた。
「……ふっ…ぅ、くっ……」
堪えきれずに漏らした声に
「どうか…したのか…?」
追いかける様に聞こえてきた声に、零れた涙を拭う事も忘れて振り返った。
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