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返された先日の数学の小テストを見た淳人は、何だか何かを諦めた様な表情をしていた。 「どうだった?」と聞いた俺に、苦笑いで 「俺ってどうしようもないバカだからさ~」 なんて返した淳人に、言い様の無い不安が渦巻く。 塾から一旦は出た足を再び建物内へと向ける。 何だか胸騒ぎを感じてしまう。 教室の入り口に見つけた背中に声を掛けようとした時、その人が中に居る塾生らしき人に走り寄るのが分かった。 …シロ先生?…と、誰……? 入口まで近づいてシロ先生の腕の中にすっぽりと納まったその人が誰か分かった時、心臓が……止まるかと思った。 …淳人?なん…で、どうして…… 速い鼓動と耳鳴りの様な目眩の様な感覚に襲われて動けないままでいると、ふと上がった淳人の視線が俺を捉えた事に気付く。 「…っ!!」 震えそうになる足を引きずる様にして、夢中でその場を離れた。
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