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【4】
凍りついた表情が痛みに耐えかねる様に崩れて、そのまま踵を返して走り出すのに、
「友希也っ!!」
友希也の後を追いかけようと、シロ先生の胸を押し返したその腕を掴まれる。
「桐島?どうした?」
「先生、ごめん!友希也が…俺、友希也を追いかけなきゃ…!」
「ユキヤって……大沢友希也か?大沢がどうかしたのか?」
「とにかくごめん!先生!!」
シロ先生の腕を振り切って、教室を飛び出した。
塾を出て駅までの道を必死で走る。
いつもなら少しでも…それこそ1分1秒でも長く2人きりの時間を過ごしたくて、ゆっくりと歩く道程。
でも今は違う。
早く友希也に会いたくて、早く友希也に謝りたくて、必死に友希也を探しながら走った。
「友希也!!」
駅まで数メートルの所で見つけた人は俺の呼ぶ声に、反射的にいつもとは違う路地へと走り出す。
「友希也、待てよ!待てってば!!」
「離せ!!」
「待てって!誤解だって!友希也!!」
「離せよっ!!!」
遮断機の下りた踏切の手前で掴んだ腕は、怒りと涙声に震えていた。
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