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セノの手際良い掃除によって、なんとエルスの部屋は一晩ぐっすり眠れそうなほど綺麗に片付いていた。
布団も綺麗に洗って日に干され、すっかりふかふかだ。
エルスといえば、気持ち程度には手伝ってやろうと雑巾片手に机を拭いていたが、隅もちゃんと拭けとセノに怒られ、バケツの水を交換しようとして転びそうになり汚い水を床にぶちまけセノに怒られ、ついにはおとなしく座っていろとため息を吐かれたのだ。
「ふふん、あんた意外とやるじゃないか。僕の侍従にしてやってもいいぞ」
エルスはご機嫌でベッドに寝っ転がっている。
セノは疲労困憊であったが、エルスが嬉しそうにこちらを見上げてきたので思わず笑顔を返した。
すると突然、エルスは耳まで赤く染めて枕に顔をうずめた。
「……あ、ありがとう、セノ」
モゴモゴと呟いたエルスに、セノも思わず顔が赤くなった。
「なんだよいきなり。お前らしくねーな」
「っ! うるさい! 今のは嘘だ! さっさと出ていけ、でくのぼう!」
突然キレたエルスに枕を投げつけられ、セノは「はいはい」と言いながら彼の部屋から出ていった。
拝啓
父上、ここの生活は最悪です。
まず起きる時間がありえません。
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