聖なる神子様

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「うちの近衛騎士殿がどうしても今日は神殿に行くと言って聞かなかったから、私達はついてきただけなんだ」  そう言って王子はセノを指差した。  セノは厳しい顔でヤイルを拘束して、こいつを地下牢に入れておけと言った。 「私から神官長に相談してみるが、難しいと思うぞ。神殿の政治に王家は介入を許されていない」 「それでもこいつをのさばらせておくわけにはいけない」 「わかったよ」  王子は近衛隊員に命令して、拘束したヤイルと取り巻きたちを連れて神官長室の方へ歩いていった。  そして残ったセノは山積みの洗濯を見て噴水の前にしゃがみこんだ。 「エルス、あいつにいつもあんなことをされているのか?」 「だいたいはな」 「そうか……これからはもっと神殿に来られないか王子に相談してみる」 「いきなりどうしたんだよ。僕があんな奴に負けるとでも思ってるわけ?」 「それはない。ただ、お前のこの顔に傷がついたりしないか心配なだけだ」  セノはエルスを手招きして隣に座らせると、美しい顔を手のひらで撫でた。 「せっかく可愛い顔してんだから、そんな眉間にシワ寄せてないで笑ってろ」 「はぁ? あんた何様なわけ」
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