邪竜の血

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 近衛隊たちがヤイルの顎を押さえて開かせる。 必死に抵抗しているヤイルの口元に小瓶を押し付けた時、ようやく彼は口を開いた。 「言う! 言うからやめてくれ! チカとかいう少年はある邪竜教徒のねぐらに連れて行かれた。そいつのねぐらの場所を教えるから放してくれ!」 「最初からそういえばいいのさ。地図を出してくれ」  王子の命令で、セノは市街地の地図を取り出した。 「酒場の裏にある厩舎の中に地下への出入り口が隠されている。そこを降りてまっすぐ進めばやつのねぐらにつながっているはずだ」  ヤイルは城下町の中でも治安が悪い北部を指差して言った。 セノはその場所を確認して王子を見た。 「では王子、約束のとおりに」 「ああ。だが本当に一人で行くのか?」 「そうしなければ間に合わない」  セノはヤイルや王子たちを置いて、こちらに走ってきた。 エルスは慌てて近くに積まれている木箱の影に隠れた。  どうやらセノは一人でチカとかいう少年を助けに行くらしい。 王子たちはヤイルを拘束して「我々も早急に準備を整えて出発するぞ」と言っている。
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