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エルスはどうにか目の前を走っていくセノをやりすごすと、距離を開けて彼の後を追いかけた。
城下町北部にある酒場の裏についたセノは、厩舎に敷かれた藁をはらった。
するとそこには地下へつながる木の扉が現れた。
セノは躊躇せずその扉を開け、中に潜り込む。
慌ててエルスもその後に続いて地下へ降りていった。
しばらく薄暗い地下道を歩いていると、前のほうから何者かが戦っている音がした。
やがて彼らの決着がついたのか、地下道は再び静まり返る。
するとセノが誰かと喋り始めた。
『おい相棒~、なんだか様子が変じゃないか』
「シルドヘッドもそう思うか? 原作通りの展開のはずなんだが」
シルドヘッド――古の邪竜を滅ぼしたという伝説の聖剣・シルドヘッドと同じ名前か。
エルスは誰がそんな名前をつけたのかと思いながら、前を歩くセノに近づこうとした。
すると突然、誰かがエルスを背後から拘束して口に布を噛ませた。
「んん!?」
「おとなしくしてな」
エルスは口元の布に怪しい粉が含まれていることに気がついた。
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