邪竜の血

4/8

20人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
 エルスはどうにか目の前を走っていくセノをやりすごすと、距離を開けて彼の後を追いかけた。 城下町北部にある酒場の裏についたセノは、厩舎に敷かれた藁をはらった。 するとそこには地下へつながる木の扉が現れた。 セノは躊躇せずその扉を開け、中に潜り込む。 慌ててエルスもその後に続いて地下へ降りていった。 しばらく薄暗い地下道を歩いていると、前のほうから何者かが戦っている音がした。  やがて彼らの決着がついたのか、地下道は再び静まり返る。 するとセノが誰かと喋り始めた。 『おい相棒~、なんだか様子が変じゃないか』 「シルドヘッドもそう思うか? 原作通りの展開のはずなんだが」  シルドヘッド――古の邪竜を滅ぼしたという伝説の聖剣・シルドヘッドと同じ名前か。 エルスは誰がそんな名前をつけたのかと思いながら、前を歩くセノに近づこうとした。 すると突然、誰かがエルスを背後から拘束して口に布を噛ませた。 「んん!?」 「おとなしくしてな」  エルスは口元の布に怪しい粉が含まれていることに気がついた。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加