邪竜の血

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それが父上にバレて即解雇されたのだ。 「キーシャ、なぜあんたがこんなところにいる」 「お久しぶりです坊っちゃん。ログレース家を追放されてからもう何年経つのでしょう……」  長い金髪に青い瞳を持ち、丸メガネをかけた紳士な男が礼をした。 「神子様がいることですし、改めて自己紹介をしましょうか。私の名はキーシャ。邪竜教のいち信奉者です。そして、神子様を殺す者でもあります」 「神子様を殺す……?」  事態を把握できず、エルスは頭に疑問符を浮かべた。 「おや、坊っちゃんは彼の正体を知らないのですね。このチカという少年は、女神が異世界から使わせた神子様なのです。そして、神子様の使命は聖剣シルドヘッドの力を開放し邪竜を倒すこと。我々のような、邪竜を復活させ世界を女神の支配下から開放せんとする邪竜教徒たちにとっては最も厄介な存在」 「こいつが神子様だと!?」  エルスは吸い込まれるような真っ黒の瞳を持つ少年を見た。 「よく調べてるみたいだな。さすが邪竜教徒」  チカはのんきにキーシャを褒めている。
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