19人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
覚醒
「セノおそい!」
「悪い、建物はすぐわかったんだが部屋を探すのに手間取った」
キーシャは立ち上がると、乱入者に向かってナイフを構えた。
「おとりを用意していたはずだが、なぜここがわかった」
「それはこいつに聞いてくれ」
セノは大剣を振り、キーシャに向けた。
すると、大剣はカタカタと音を立てながら喋りだした。
『伝説の聖剣・シルドヘッドであるオラが、邪竜の匂いを辿れないはずないだろう』
「ふん、女神の犬どもが」
セノは聖剣を振り上げキーシャに飛びかかった。
だがキーシャはそれを避けて後ろに下がる。
避けられたセノの剣は、近くに居たエルスの耳元に突き刺さった。
「ぼ、僕を殺す気か!?」
「悪い、しばらく隅で待っててくれ」
セノは悲鳴を上げるエルスを蹴って、彼を部屋の隅へと転がした。
「なんて無礼なやつなんだ……」
エルスが呟いていると、いつのまにか拘束を解いたチカが壊された扉の上に立っていた。
「じゃあ僕はお先に。セノ、頑張ってくれ」
「くっ、なぜ神子が自由になってるんだ!」
最初のコメントを投稿しよう!