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しかしその刃は弾かれ、ゴーレムには傷一つ付かない。
ゴーレムは大きな手でセノを叩き落とし、彼の体は地面に打ち付けられた。
「セノ!?」
エルスは壁を這って起き上がりながら彼の名を叫んだ。
「神子は取り逃がしたが、聖剣の使い手だけでも殺せたら十分だ。死ぬが良い」
ゴーレムが両拳を握り、地面にうずくまるセノに振り落とそうとした。
その時、建物の屋根を突き抜けて一筋の雷がエルスの体を貫いた。
「んぐっ……!?」
エルスの心臓が大きく脈打つ。
全身が熱くなって、この体が狭苦しくてたまらなくなる。
手足に鮮やかなプラチナの鱗が浮き出て、背中からは美しい翼が生えた。
それを見てキーシャは目を輝かせた。
「ああ、やはり邪竜は美しい……」
エルスは翼を広げて飛び上がると、キーシャに向かって叫んだ。
「僕のセノを、これ以上傷つけるな!」
エルスはゴーレムの方を向いて、大きく息を吸った。
「ファイアーブレス!」
エルスの口からゴーレムを包み込むほど大きな炎が吐き出される。
キーシャはひどい火傷を負って、ゴーレムから転げ落ちた。
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