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見習い神官の日常
「ここが僕の部屋」
そう言ってエルスは自室の扉を入れて、セノを中に招き入れた。
バケツを片手に中に入ったセノは「うっ!?」と叫んで空いた片手で口元を抑えた。
「なんだこの部屋、クモの巣まみれじゃないか」
「だからこれから掃除するんじゃないの。ほら、バケツ置いて早く働けよ」
エルスはセノを足蹴にしながら部屋の中に入ると、クモの巣をかき分けて窓を全開にした。
そしてほうきを手に取ると、天井に張ったクモの巣を払い出した。
エルスは決して小さい方ではないが、この部屋の天井はやたら高くて背伸びをしないとほうきが届かない。
セノは部屋の隅から雑巾を見つけると、とりあえずそれを絞って掃除を始めることにした。
エルスが上を見ながらふらふらと掃除していると、後ろに座っていたセノに足を引っ掛けてつまづいてしまった。
「うおっ、危ない!」
セノは転びかけたエルスを慌てて引っ張ると、後ろから抱きしめるように受け止めた。
エルスは思わず悲鳴を上げた。
「ぎゃーっ、僕にさわるな、変態!」
「へ、変態!? お前が足元見て動かないのが悪いんだろう」
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