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エルスは照れているのか頬を赤くして手足をじたばたさせている。
セノは暴れるエルスを抱えたまま立ち上がりエルスを立ち上がらせると言った。
「はぁ……、危ないから天井のクモの巣は俺が取るよ。エルスはこれで机でも拭いてくれ」
「僕に命令するな!」
吠えるエルスに雑巾を押し付け、セノはほうきを奪い取った。
セノはエルスよりも頭一つ分身長が高いおかげか、やすやすと天井のクモの巣を払ってみせた。
「ふんっ、身長が高いだけのでくのぼうのくせに生意気だぞ」
「お前、本当に口が減らないな……」
セノは呆れた顔で言いつつ、黙々と部屋を掃除した。
エルスが渡された雑巾で机を拭いていると、机の裏から一匹のクモが飛び出してきた。
「ぎゃーっ! クモがいる!」
騒がしいエルスにセノは思わずほうきをおろして両耳をふさいだ。
「クモくらいなんだよ」
そう言ってセノはエルスの元に来ると、クモを指で掴んで窓から外に出してやった。
「元気で生きるんだぞ」
セノがクモに手を降っていると、横からエルスは「二度と僕の部屋に近寄るなよ!」と吠えた。
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