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それぞれ食べたい物を収穫して厨房に行き、盛り付けたら食堂へ。中で繋がってるから廊下に出なくてもそのまま行ける。
食堂には2人用の丸テーブルが4つあって、俺と純が向き合って座ったらヤシオが来た。
「おはよう。早いね」
言いながら隣のテーブルにつくヤシオに純が首を振る。
「ううん。俺は今から寝るところ」
純は工作や修理が得意で、夢中になると寝るのを忘れる。倒れるほどの無理はしないからヤシオも厳しくは言わない。
ヤシオは今住んでいる中では一番長くこの館に住んでいる。もうすぐ500年になるって言ってた。
運命の相手であるアキヒメは人間。ヤシオと契約してからは喋らないし表情もないけど、その前に食事は一人で食べたいと言っていたらしい。だから厨房から裏口を挟んだ向こうにある部屋をアキヒメの食事部屋にしている。
厨房は館の北東にあって、東に面した部屋はそこから食堂、大広間へと続く。大広間は南東の角部屋で南に面した部屋はそこから広間、客室、お手洗い。大広間と広間からはテラスに出られる。西向きの玄関ホールと中庭を挟んで北側にあるのは裏口と厨房とアキヒメの食事部屋の他に個室が4つ。ここは作業をしたり応接室にしたり。
この建物どころか敷地から出たって運命の相手がどこにいるかどんな状態なのか大人なら分かるのに、ヤシオはだいたいこの食堂で待つ。
基本的には契約をすると一緒にいたがる。それはアキヒメだって同じなんだけど、食事中は離れていてほしいらしい。でもあんまり遠くにも行かれるのも不安みたいで、ここがちょうどいい場所なことが多い。難しいね。
俺の運命の相手はどんな世界のどんな種族だろう?
ぼんやり考えていたのが純の声で中断される。
「ねえ、やっぱりどこか悪いんじゃない?」
「やっぱりって?」
俺より先にヤシオが反応した。
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