幼馴染.1

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幼馴染.1

「ももちゃん!」 「はるくん?なーに?」 「オレ、ももちゃんとけっこんする!ももちゃんのこと、ずーっとまもってあげる!」 「???けっこんはおんなの子とするんだよ」 「…ももちゃんおんなの子でしょ?」 「ぼくおとこの子だよ?」 「せんせー!はるとくんがとうまくんにけっこんしよっていってるー」 …その後の記憶はあまり覚えてない。 ーーーーーーーーーーー✴︎ 俺の初めての大失態。 それは幼稚園の頃よく遊んでた“桃真(とうま)”の事をずっと女の子と間違えていて、知らずにクラスの真ん中で告白してしまったことだ。 親同士が仲良くて生まれた時からよく遊んでた俺たちは親が桃真のことを「ももちゃん」なんて呼ぶし、見た目も髪の毛結ばされてたし、肌も白いし、早生まれだったことで当初クラスでも一番背が小さくて実際中学上がるまでは女の子とよく間違えられてたし…。 案の定、同じ幼稚園に通ってた奴らからは小学校に上がってもからかわれたりして、桃真とはしばらく距離ができたこともあった。 今現在、高校を卒業手前、俺も桃真も進学先が決まり、別々の道を歩もうとしている。 幼稚園、小学校、中学校、高校とずっと一緒に過ごして来たから多少寂しくはある…けど… タンタンタンタンッ ガチャッ! 「はる!」 「あ?ノックしろや、もも」 「今日さ、母さんたちが進学祝いでみんなでお寿司だって!!」 「ほんと話きかねぇな」 「ね!早く下に降りてきて、一緒に食べようよ!」 言われるがまま手を引かれるままゲームを無理やり中断させられ、一階に降りると俺の母親、父親、妹、犬と、ももの母親、父親、兄、姉が揃ってテーブルを囲んで座っていた。 「やっときたー。早くすわって、食べましょ!」 「やっとって俺何も聞いてねぇよ。」 「言ったわよ?今日の朝、話もちゃんと聞かずにさっさと学校行っちゃったの晴斗でしょ」 「まあまあ母さん、今日はももくんと晴斗のお祝いなんだから」 「そうそう!はるくん、とうま!合格おめでとー!」 ももの兄ちゃんが場を盛り上げてくれて、みんなでワイワイとご飯食って楽しい時間となった。 寿司を食ってさっさと自分の部屋に戻ってきた俺はゲームの続きを始めた。 こんな日は親たちはお酒にのまれリビングで寝泊まりしていくお決まりがあって、ももも、俺の部屋にやってきた。 「はるー?」 「親たち寝た?」 「うん、寝ちゃった。俺ここで寝ていー?」 「…他に寝る場所ねーだろ」 「うん」 …本当は困る。 幼稚園の頃、告白したのはあながち間違いじゃねぇってこと。 正直言って見た目が好み。性格も懐っこくてかわいい。 幼稚園の頃1番背が低かったももは、中学の頃にグンと延び今では180もある。そこだけはムカつく。 そんで、俺の部屋にはベッドがひとつ。泊まる時はいつも同じベットに2人で寝ている。俺が床で寝るって言うともも怒るし。 「俺もゲームしたい」 「ん」 コントローラーを渡して2人で戦闘ゲームを始めて1時間ほどたった頃。 隣でウトウトし始めたもも。 「おい、寝るなら先寝ろよ」 「はるは、寝ないの?」 「俺まだゲームする」 「じゃあ俺も…まだゲームする」 「もうほぼ寝てんじゃねぇか」 「一緒に寝よー…よ」 「勝手に寝ろ」 そう言って、俺は1人モードでゲームに戻り続けようとした瞬間、プツンとテレビが真っ暗になった。 「もーもー」 「はる、寝よ、眠い〜」 「ももだけ寝ればいいだろ!」 「一緒に寝る、のっ!」 「うおっ?!」 ふわっと体が浮きベットに乗せられた。 「え、こわ」 「へっへっへー、ちょっと前から筋トレ始めたんだー」 「眠いんじゃなかったのかよ」 「眠いよ!寝よ〜はる」 掛け布団をかけられ、電気を消して、モゾモゾ隣に潜り込んできた。 俺は今日絶対に寝る気はなかった。っていうか床で寝るつもりだった。ベットに入っても絶対に寝られないから…。 俺は壁側を向き、背中に感じる温もりに心臓が跳ねる。 「ねー、はる」 「なんだよ」 「…こうやって寝られるのも、最後かもしれないから。無理やりゲームやめさせてごめんね」 「…は?」 「俺、高校卒業したら、一人暮らしするんだ。大学に近いところで」 「そんな話聞いてねぇ」 「うん。だから今言った。顔見えると、言えないから」 「そういうの顔みて言うもんだろが」 「むりだよ〜。俺、泣き虫なの知ってんでしょ」 「…」 「離れるの寂しいんだよ」
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