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私も、それ好き
今日も俺・三島英明はクラスの女子・藤沢天音を目で追ってしまっていた。
「三島、なにぼーっとしてんの?」
同じ部活の原が話し掛けてくる。俺は慌てて藤沢から視線を外した。
「別に」
「そんならいいけど。部活行かね?」
「行く」
「おう。行くべ、行くべ」
原に促され、俺は鞄を持って立ち上がる。
よかった。俺が藤沢を見ていたことは気付かれていないようだ。そんなことがバレたら、からかわれるに決まっている。無意識に凝視しないように気を付けた方がよさそうだ。
ちらりと藤沢の方を見ると、彼女はもう教室を出て行くところだった。彼女はなんの部活にも入っていない。帰宅部だ。そんなことを仲良くもない俺が知っているのがバレたら気持ち悪がられそうだ。だが、いつも見ていたらわかってしまったのだから仕方がない。
藤沢とはほとんど話したことが無い。この前も、めちゃくちゃ勇気を出してようやく話しかけることが出来た。ほんの一言だけだけど。それでも最高に嬉しかった。
藤沢が日直の仕事を忘れてくれていたお陰だ。声を掛けた後で、更に黒板を消すのを手伝えばもっと良かったのかもしれない。そうすれば、もう少しだけでも彼女と会話が続いて、しかも、好感度がアップして俺のことを……。
などと、後になってから思ったがそこまでは正直出来る気がしない。
どうやったら、もっと自然に話しかけたり出来るようになるのだろう。
「おーい、置いてくぞ?」
原の声に、俺は慌てて後を追った。
ダメだ。藤沢のことを意識しだしてから、彼女のことを考えることが増えてしまってぼんやりしがちになってしまった。
もっとしっかりしなくては。
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