37人が本棚に入れています
本棚に追加
「そ、それくらいお父さんでも出来るもんね! うっうん、あー、あー。たぬー、たぬたぬ~。たぬん」
静かにしてと言っているのに父はタヌマルの声真似を始める。正直、ちょっと可愛い……。千代が聞いたら卒倒するかもしれない。藤沢和孝がタヌマルの声を演じるなんてレア中のレアだ。
が、今聞きたいのは本物のタヌマルの声なわけで。そして、ビジュアルとしてはおじさんが可愛い声を出しているという謎の状況なわけで。
「ちょっと! お父さん! 本物のタヌマルの声が聞こえないでしょ!」
「えー、お父さんの声も可愛いと思うんだけどな……」
私は怒って、父はしゅんと肩を落として、更にそこへ、
「何今の-! 和孝さん! 今、タヌマルの声やってなかった!?」
母がやってきて、
「あ、うん。ちょっとやってみた」
「か、可愛い! 和孝さんのタヌマル可愛いぃぃぃぃぃい! ぷりてぃぃぃぃぃい!」
「そ、そうかな……」
大興奮の母に父がデレ始めて……、我が家ではいつものこととはいえ、カオスだ。
とりあえず、盛り上がっている二人は放っておいてテレビの中のタヌマルを鑑賞することにする。
やっぱり可愛い。
そして、思い出した。そう、タヌマル。
最初のコメントを投稿しよう!