同じものが好きってなんだか嬉しいよね

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 まだ高校に入学したばかりの頃だ。  クラスの男子(三島君だっけ? 人の名前覚えるの苦手だから)が、鞄にタヌマルのマスコットを付けていることに気付いた。この人もタヌマルが好きなのかな、とちょっと嬉しくなった。しかも、進化後じゃなくて可愛い方!  だが、その直後、詳しくは何を言っていたか忘れたけど、三島君と話していた男子が、タヌマルのことを馬鹿にしたのだ。小学生かよとかなんとか言って笑っていたと思う。  ムッとして頭に血が上った。  好きなものを否定されるのって、頭にくる。  それで、その男子が去った後に私は三島君にうっかり話し掛けてしまった。普段の私だったらそんなことしないのに。  だけど、三島君がタヌマルを馬鹿にされて落ち込んでいるように見えたから。  私もそれ好き、とか言ってしまった。  口に出してから我に返って、さっさと立ち去ったけど。  あああああ。  今思い出すと恥ずかしい。  きっと、三島君はそんなこと忘れてるだろうけど。  だけど、大好きなタヌマルを馬鹿にされて何も言わないなんて無理だった。馬鹿にした方に言い返すんじゃなくて三島君に話し掛けてしまったのが私らしい。
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