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よく知りもしない女子に話し掛けられて、三島君はポカンとしていたはずだ。きっと迷惑だったに違いない。
だけど、今も三島君はタヌマルのマスコットを付けている。
馬鹿にされても自分の好きなものをずっと貫いている三島君はすごい。きっと三島君もそれだけタヌマルが大好きなんだろう。
私だったらいくら好きでもまた馬鹿にされるのが嫌で外してしまうかもしれない。そして、自分の部屋でこっそり愛でることにする。
そんなに好きなら私がタヌマルのことを『それ』なんて言ってしまって不愉快だっただろうか。『その子』とか言えばよかった。自分の好きなものを『それ』呼ばわりなんてきっと嫌だったに違いない。
あの時はそんなこと考える間もなく話し掛けてしまった。冷静に考えるなんて無理だった。
余裕があったらちゃんと考えて話せるのに。
あの時、こう言っとけばよかったなって思うことはよくある。後になって、別の言い方があったのにと後悔してしまう。
だから、人と話すのって苦手だ。
「たぬーん。たぬたぬ♡」
私が心の中でため息を吐いているとも知らずに、父は可愛いタヌマルになりきって母に頭を撫でられている。
相変わらずのラブラプっぷりだ。
全く! 人の気も知らないで!
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