コロナ禍の始まり

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「そんな気にし過ぎ!もっとドンと構えて、うつすんならうつしてみろ、って気合いでやんの」 「そんな問題じゃない」 「田舎やもんね、この辺。そりゃそうか」  結局、何の答えも出ずにラーメンを食べてそのまま夏菜子とは別れた。  夏菜子は彼氏のトオルに会いに行った。今頃はトオルの部屋でやってるのだろう。 アタシにしてもしたくないわけはないし、逢いたいし、ギュッてして欲しいし…じゃれあいたいし、手を繋いでくっついて寝たい。     「いつか一緒に住みたいね」    「絶対、一人前の役者になって      茉莉子を迎えに来るから」  庵が東京に行く日、駅のホームでギュッと抱きしめてくれてそう言ったのに。あの頃はこんなことなんて考える必要もなかった。 コロナひとつでも変わってしまった感が半端ない。
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