コロナ禍の始まり

5/16

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「ただいま」 「マリちゃん、今日、早かったね」 家に帰ったらおばあちゃんが台所で晩ご飯の用意をしていた。手を止め手拭(てぬぐ)いで手を拭きながらいつもの優しい笑顔で出迎えてくれる。 「うん、残業なかったんよ。あ、ばあちゃん、うちがご飯用意する。テレビでん観よって」 「ごめんねー」 いつもそう言ってニコッとするばあちゃんがうち達姉妹は大好き。 「ううん、いいって」  うちの家族は、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、アタシ、2つ下の妹の朱音(あかね)の5人家族。        お母さんは居ない。  アタシが5つの時、(がん)で死んだ。お母さんが30歳の時。それからは農協に勤めながらアタシと妹を育ててくれた父親。  妹は林檎の加工工場で働いてて、来年、今付き合ってる彼と結婚するとか言ってる。お父さんは今年の10月で50になる。 おじいちゃんとおばあちゃんは小さなリンゴ農園を経営してて、だいぶ規模は小さくなったけど、それでも昼間はリンゴを作ってる。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加