コロナ禍の始まり

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「ただいまーっ。もう疲れたあ」 バッグをソファに放り投げてそのまま二階に上がろうとした朱音。 「アンタ早いんやね」 「たっくんと喧嘩した」 「また?」 「余計なお世話。コロナが悪いっちゃん」          コロナか…       庵…PCRしたかなあ… 「ご飯食べるよね」 「うん。その匂いは肉じゃが?」 「そう。アンタ、シュッシュしてきた?」 「したーっ!当たり前じゃん」  うちには至る所に消毒液がある。玄関の外、中、台所、洗面所、それにみんなの部屋。 みんなには「やり過ぎっちゃない?」って言われるけど、うちには年寄りが三人いるし、基礎疾患(きそしっかん)があるんだからどんなに注意してもし過ぎることはない。 アタシの不注意でお父さん達が死んだりしたら一生後悔しなきゃならない。そんなことだけは絶対に嫌だから。
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