友人Fの本懐3 - 卒業の夜に -

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Fは私に岩塩を渡した。 「代われ」 私はその岩塩を取り、Fがしていた様に、ノリ子先輩の背中の手形の上を手の甲で叩いた。 叩くと手形は消える。 しかし、また別の所に浮かび上がる様に出て来る。 Fは喫茶店の紙ナプキンに何かを書き始めた。 もはやそれは読める文字ではなく、正に殴り書きだった。 そしてその紙ナプキンをもってノリ子先輩の背中を摩る様に擦った。 うげ、うげと言っていたノリ子先輩は、次第にその声を発するのを止めて、また変な咳を始めた。 「びっくりした…」 と立っていた先輩たちも座り、静かになったノリ子先輩をじっと見ていた。 ノリ子先輩の背中を見ると、紙ナプキンに書いていた文字のインクがコートに付いていたが、手形は無くなっていた。
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