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勿論、寺など完全に閉まっている時間だった。
タクシーを横づけしたFはインターホンを押して話をしていた。
直ぐに普段着の住職が出て来る。
そして私たちは寺へ入ろうとタクシーを降りた。
するとノリ子先輩が暴れ出した。
「嫌や、絶対に行かへん。こんな所行かへん」
と、殆ど叫び声。
それを無理矢理、私とFと関口で寺の敷地内に押し込んだ。
物凄い力だった。
関口の手の甲にはノリ子先輩の爪で引掻いた痕が残っていた。
中に入るとノリ子先輩は大人しくなり、フラフラとFに支えられながら歩いていた。
振り返ると青い顔をしたヨウ子先輩が、ノリ子先輩と同じ様な咳をしている。私はヨウ子先輩が握っていた岩塩を取り、ヨウ子先輩の後ろに回った。
「その子もやな…」
と住職が言う。
私は頷いて、ヨウ子先輩の背中を押して寺の中に入れた。
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