友人Fの本懐3 - 卒業の夜に -

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ぐったりとして横になった二人の先輩を挟む様に私とFが座った。 住職は蝋燭と線香に火をつけて、読経を始めた。 そして時折、数珠を持った手で、ぐったりとしている先輩たちの背中をトントンと叩く。 その内、Fと私に数珠を渡し、トントンと叩けとジェスチャーで言う。 私とFは住職の読経に合わせて先輩たちの背中を叩いた。 寒い日だったのに、私とFの額には汗が浮いていた。 それだけじゃなく、住職の頭にも汗が流れていた。 無数に炊かれた線香の煙がお堂に充満していた。 ぐったりとしていた先輩たちの身体がピクリピクリと動く。 その度に私とFは先輩たちの背中を数珠で叩いた。 さっきの様な手形は見えなかったが、何か凄い力なのはわかった。 住職が枕机の引き出しから何かの書かれた紙を出し、読経を続けながらその紙を二人の背中に載せた。 そして二人の方を向いたまま、読経を続ける。
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