友人Fの本懐3 - 卒業の夜に -

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「母親と子供やな…」 とFは言いながら私の肩を叩いた。 私は俯いたまま頷いた。 Fの話ではノリ子先輩が引っ越した部屋は、母親が子供二人を道連れに無理心中を図った部屋だと言う。 そしてその三人を、家族で一番霊感の強いノリ子先輩が背負っていた様だ。 身体の弱い子供を育てるのに疲れた母親が、無理心中をしたのでは無いかと言っていた。 喘息が子供にはあり、それで変な咳をしていたのだろうと言う話だった。 Fの話を私たちは黙って聞いていた。 「学校に行きたいって子供は強く思ってたみたいやな…。それで卒業したノリ子さんを見て羨ましかったんやろうな…」 Fは相当疲れていたのか、お菓子を食べながら何杯目かのお茶を飲んでいる。 「家の方は大丈夫なんか…」 「事故物件ってやつちゃうの」 関口とサワ子先輩が言う。
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