友人Fの本懐3 - 卒業の夜に -

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その後、ノリ子先輩とヨウ子先輩が殆ど同時に起きた。 しかし既に電車も無く、始発を待つしかない時間だった。 私たちは仮眠をしていた住職にお礼を言って寺を出た。 「ちゃんと供養しとくから」 と住職は先輩たちの背中に貼っていた紙を手に持っていた。 「そう言えばさ、除霊の時って塩使うやん。何で塩なん」 と関口がFに訊いた。 Fはタバコを吸いながら早朝の誰もいない道を歩く。 「霊ってのは基本、水の傍に居る事が多いねん。井戸とか池、湖、川もかな…。基本、喉が渇いてるんやな。けど、塩水って喉が渇いてても飲めんやろ。だから昔からお清めの塩なんて言って使うらしいわ」 その話に皆頷いていた。 その後、動き出した西行きの電車に乗って帰った。 汚してしまったノリ子先輩のコートの事をFは謝ってたが、ノリ子先輩は、 「許すから一回ケーキ食べに行こう」 とFとデートの約束をしていた。
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