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二人は森の中を歩いていた。
一人は明るい茶髪の剣士の風貌。
もう一人はまだ幼さの残る癖っ毛の黒髪の少女。
森の道は整備されてはいるが、左右に木々が生い茂っている。
「ねぇ、ウブェル、本当にいるのかな」
少女は隣を歩く剣士に問いかける。
「ただの噂だって言う奴もいるけど、俺らはそれに賭けるしかないだろ?お前のためなんだ、ソフィ」
ウブェルはこともなげに応えた。
「もうこの道何回通ったことやら」
「一週間探してるから七回目だな」
はぁーとソフィは深くため息をつく。
朝早く宿を出て一日中森を探索し、また宿に戻る。そんな生活を送っているが、一向に見つからない。
「白いフードを被った女性…なんて、本当にいるのかな…」
その言葉にウブェルはピタ、と足を止める。
合わせてソフィも足を止めた。
「囲まれてるな」
ソフィにだけ聞こえる声でそう呟く。
そっと腰にさしてある剣の柄に手をやる。
「おーっと、バレちまったか」
ガサガサと両脇の木の間から男たちが姿を表す。
その数、五人。
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