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「よし、きりかかれ!」
男達は一斉に砂埃に目掛けて突進する。
が、途中で異変に気づく。
目潰しのつもりで投げた砂埃の中から光る大きな目の様なものが見えたのだ。
怯んで足を止める男たち。
砂埃も徐々に収まっていき、そこに現れたのは…。
「ば…化け物!!」
人の二倍はある全身黒い犬にもオオカミにも見える者がこの世のものとは思えない低い唸り声をあげて男達を狙っていた。
「や…やべぇ。逃げろ!!」
男達は蜘蛛の子を散らすように散り散りに逃げ出す。
化け物は、その内の一人の服を口で掴むと、大きく振りまわし始めた。
「ギャー!!た、助けてくれえぇー!」
喚きながら振り回される男には目もくれず、他四人は姿すら見えない。
化け物は振り回すのをやめてポイっと男を放り投げる。
高い場所から放り出された男は、足を挫いたらしく、びっこを引きながら走って逃げようとする。
「これ以上はヤバい」
ウブェルは斜め鞄から瓶を取り出し、化け物に降りかかる。
「クシュン」
その図体に似合わず可愛いくしゃみをすると、化け物はみるみる小さくなっていき、その場所にはソフィが倒れていた。
男は後ろをふりからず森の中に逃げ込み、その姿は既に見えない。
「あー、面倒なことしやがって…」
ウブェルは斜め掛けかばんから予備の服一式を取り出す。
ソフィは裸だった。
アレになると服は破れて跡形も無くなってしまう。
あまり直視しない様にソフィに近寄り、服を着替えさせようとした時。
「あ」
目があった。
森の中からひょっこりと顔を出したその瞬間に。
「あ、どうもー」
何事もなかったかの様に手をヒラヒラと振る彼女。
そこにいたのは、ウブェル達がこの一週間探していた相手。
「フードの女!!」
ウブェルに大声に、フードの女は目をパチクリとさせた。
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