突然の目覚め

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突然の目覚め

真っ暗い所から明るい場所に出たのは、突然の事だった。 まるで長い間、閉じていた目を突然開いた時のようだ。 目の眩むような眩しさに、すぐに目が慣れない。 僕は何者で、どこから来たのかすら考えもしなかった。 僕は山奥の細い道の奥にポツリと居るようだ。 動く事もせずに、ただ同じ景色を見て佇んでいた。 どれだけ時間が経ったのだろうか。 遠くから何やら、おばあさん?おじいさん?が、ゆっくりとゆっくりと歩いてくる。 心の声 (あっ、おばあさんか。) しばらくすると、おばあさんは僕の前に来て立ち止まった。 「あらあら、こんなに汚れちゃって。」 おばあさんは、首にかけている手拭いを手に取り僕の顔や身体を丁寧に拭いてくれた。 心の声 (なんて気持ちが良いんだ。) とても心地よく痒い所に手が届く様な、そんな感覚だ。 「こんなに可愛い猫ちゃんの石の置物が、どうしてこんな場所にあるのかしらね。」 そう言いながら、去っていった。 心の声 (えっ、僕は可愛い猫ちゃんの石の置物なのか?) おばあさんの後ろ姿を見ながら戸惑いながらも喜びがこみ上げてきて、何だか心がポカポカで僕は、 心の声 (おばあさん、ありがとう!) そう心の中で呟いていた。 僕は突然目覚めた。だけど感覚で分かる。 僕は長い間、此処に居たんだ。 顔や身体を拭いてもらった、あの感覚は、とても気持ちが良く感動した。 僕は何者か、どうして此処に居るのかも分からないし、何も思い出せないけど、何か僕に出来る事を探すことにしよう。
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