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とある日の出会い
それから数日が経った頃。
心の声
(あっ、またあのおじいさんとおばあさんだ。また来てくれたんだな。)
おじいさんとおばあさんは、ゆっくりゆっくりと僕の前に来た。
すると、また2人で僕を拭いてくれた。
心の声
(うわ~いつもよりも丁寧に拭いてくれてるな~ぁ、気持ちいい~。あれっ、昔にこんな感覚味わったような…
あっそうか、昔僕を作った、お兄さんがよく僕に話かけながら、こんなふうに拭いてくれてたな…でもその後の記憶は、まだ思い出せないな。)
そんな事考えていると、何やら、おばあさんが手提げ袋から、お皿や湯呑みなど出し、おじいさんが僕にぴったりな小さな祠のようなものを次々とセッティングし始めた。
「可愛い猫ちゃん、この前はおじいさんを助けてくれて、ありがとうねぇ~。」
「君は、ねこ神様なんだな。お陰で助かったよ。ありがとう。これ食べておくれ。」
そう言うと、僕の前に置かれたお皿に猫の缶詰を出して置いた。
心の声
(おじいさん、おばあさん、ありがとう~。お供え物、嬉しいんだけどね、嬉しいんだけど…僕、姿は猫かもしれないけど、何だろう、苺大福とかの方が嬉しいんだけどな…
まぁ文句は言えないよな。ありがとう。でも僕が、ねこ神様かぁ、何か神様なんて呼ばれると気分いいな~。)
おじいさんと、おばあさんは、ゆっくりゆっくりと歩いて行った。
心の声
(ん?何か時々、振り返って僕の事見てないか。何か見てくる~食べるの見てるのか?)
そんな事を考えていたら、近くの茂みから、野良猫が出てきた。
にゃ~にゃ~
心の声
(あれ?何か聞こえてくるぞ!)
助けて下さい。お腹がペコペコで僕にご飯をくれませんか。
心の声
(何か聞こえた!僕、動物の声も聞こえるの?何か話かけてみよう。ここはやはり念力で、この猫ちゃんの心に問いかける様にやってみるか。
そこの猫ちゃん、僕の声が聞こえるかい?お腹が減ったのなら、このご飯を食べるがよいぞ。
あっ、ちょっと猫神っぽく言っちゃった!)
聞こえます!うわぁ~美味しそうなご飯です!ありがとうございます!頂きます!
美味しい美味しい、ずっとご飯食べられなかったから本当に幸せです。
貴方は神です!僕達の猫の神、ねこ神様です!
心の声
(いやいや、そこまで誉められると、何だか照れるな。またお供え物持ってきてくれたら食べてよいぞ。)
うわぁ~嬉しいです!またお言葉に甘えさせて頂きます。今度は僕の家族も一緒に連れてきて良いですか?
心の声
(うん、うん。良い。良い。良いぞ。いくらでも連れて来れば良い。
あっ、何か僕ちょっと調子にのって、神っぽい雰囲気出しちゃってるな。)
そんなやり取りをしていると遠くから視線を感じるなと目をやると…
心の声
(うわっ、おじいさんとおばあさんが見てる!めっちゃ見てる!ガン見してる!何か怖っ!)
そんな事を思うと、おじいさんとおばあさんは、ニコッと笑いながら、ゆっくりゆっくりと帰って行った。
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