ルーン1

1/3
前へ
/24ページ
次へ

ルーン1

この星の文明って本当に幼稚だわ。 だって表向きはサルから進化した獣が好き勝手やってる風だけど。 誰も気付いてないんですもの、本当のご主人様が誰なのかってこと。 私たち誇り高きシャム族こそが支配者よ。 私の名前はルーン。同胞と共に、人間にはいまだ観測できないようなはるか遠くのからやってきた異星人。それこそオールトの雲を遥かに越えた彼方からよ。 幸いにして私たちの外見はこの星の在来種“ネコ”に酷似していた。だから数世紀ほど前から擬態して潜入してきたの。 なにもすき好んでこんな辺境惑星に来るわけじゃないわ。 公衆衛生、モラル、法整備、文化水準、娯楽。なに一つとっても母星に劣る。 比べるだけ可哀そうかしら。 ああ、でも、かわいそうってよく分からないわ。 …とにかくこんなこと言うものじゃないわね。 だって私たちがこの星に来る理由は人間たちのその粗野な生き方ゆえなのだもの。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加