協力は必然で心は揺れて

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「話を戻すが、犯人についての大まかな目星はついている。しかし俺は警戒されていて近付けない、その相手への接触をお前達に任せることになるが良いか?」 「ああ、任せてくれ。こうして兄さんが俺を頼ってくれるのは初めてのような気もする、嬉しいよ」  涼真(りょうま)だけでなく深澤(ふかさわ)カンパニーにも関わることだから責任重大だと分かっているが、二人の気持ちはとても前向きだった。危険も伴うと言われたが、それも二人で乗り越えるつもりで。 「でも、約束して欲しい。この問題が解決したら、きちんとあの家にも深澤カンパニーにも戻ると」 「もちろんだ、必ず戻ると約束する」  涼真だって自分の立場はちゃんと理解している、颯真(そうま)にずっと代わりをさせることが不可能だと言うことも。この計画だってそんなに時間がかけられるわけじゃないので、失敗は許されないだろう。  だからこそこれだけ慎重に物事を運ぶ必要があり、ここから先は颯真と花那(かな)も同じように気を付けなければならない。 「……それと俺のサポート役、高峰(たかみね)のことも守って欲しい。あいつを一人で残してきてしまったから」 「高峰さん? ああ、あの人か……分かった」  そう言えばそんな小柄な男性もいたな、と颯真は思い出して頷いた。高峰は涼真が深澤カンパニーに入社した頃から彼を支えていたはずだ。今回の事できっと胸を痛めているに違いない。 「いろいろ頼んでしまってすまない」 「いいよ、そういうのは。それより作戦の細かい内容についてだが……」  その夜、三人はバー・リヴェイユの閉店時間まで綿密な計画を立てるためにじっくりと話し合った。
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