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「高峰さんがここで待っていてくれる限り、兄は戻ってきます。絶対に」
「そうだと良いのですけれどね、うるさい補佐がいなくて清々しているかもしれませんから」
真面目そうな高峰がそんなふうに言うから、颯真と花那は顔を見合わせ笑ってしまった。涼真と高峰は二人にしか分からない特別な絆がある、それだけはハッキリしているから。
早く涼真をあるべき場所に戻してやりたい、そのためには何から始めるべきだろうか。計画は立てているものの、こちらからのターゲットへの接近は容易ではない。
だとすれば……
「伊敷専務の行く店を特定すれば、もしかしたら……」
「そうね、でもどうやって?」
伊敷は今夜いつもの店に行くと言っていたが、その予約を部下に任せていたはず。さっきの部下に聞けばすぐわかりそうな気もするが。
「そのくらいなら私に任せてください、こう見えて結構色んな人と繋がりがあるので余裕です」
「……高峰さん?」
そう言うと彼は手帳をパラパラと捲り、スマホを取り出し操作し始めた。すぐにメッセージの通知音が鳴り、画面を確認した高峰が僅かに口角を上げる。
すると真面目そうな彼が急に艶っぽく見えるので、花那は思いがけずドキドキしてしまいそうになって。
「伊敷専務らしいですね、どうやら若い女性のたくさんいるお店のようです。さて、これからどうします?」
「高峰さん、貴方はもしかして……」
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