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「ですが、伊敷専務が持っている情報はたかが知れているでしょうね。多分彼は誰かにとって操りやすい人間だから、今のところは専務でいられるのでしょうし」
「重要な情報は聞かせないで、都合が悪くなったら使い捨てするつもりってことですか?」
まあそんなところだろうと颯真も思ってはいた。自分が何かを計画した場合、きっと伊敷のような男に詳細を話そうとは思わない。現に伊敷は高峰相手に、個人の番号とアドレスを教えてしまっているのだか。
だからと言って、使い捨てとは気分が悪い。きっと罪を被らせるために、伊敷に専務という立場を与えているに違いない。そう考えると、裏で糸を引いている人物を何としてでも捕まえる必要がある。
「少なくとも伊敷専務に何か指示をしている人間くらいは特定出来るでしょう。そちらは私に任せて、颯真さんたちは他の方向からのアプローチをお願いします」
「分かりました、そちらは高峰さんにお任せします。俺たちは……」
誰もが伊敷のように自分から近寄ってきてくれるわけではない。涼真の代理という事で警戒してる者も少なくはないだろう。それなら、理由をつけてこちらから近付けば良いだけの事。
颯真と花那は近いうちにある会社の企画や行事になどに目を通し、その上で上層部の人間と接触する機会を窺うことにした。
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