安らぎと癒しに包まれて

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「なら、どうして?」 『それを今すぐに言うことは出来ないが、颯真(そうま)にも話したいと思ってる。迷惑をかけることになるかもしれない、だけどお前の協力が必要なんだ……』  こんな風に涼真(りょうま)が颯真を頼ったことなど一度だって無かった。今までずっと兄として颯真の力になり、助言をし支えてくれた彼が自分を必要としている。  それは予想もしない事だったが、同時に颯真の心を大きく震わせた。 「俺が、兄さんの力になれるのか?」 『颯真にしか出来ない事だし、お前ほど信用出来る人間は他にいない』  余程の理由があるのだろう、涼真の言葉選びは慎重で協力して欲しい内容は一切話さない。ただ絶対的な信頼を涼真が颯真に寄せていることはハッキリと伝わってくる。  それだけでも颯真には涼真に協力をしたいと思うには十分だったのかもしれない。 『もし、颯真が協力してくれる気があるのなら……水曜の夜、バー・リヴェイユに花那(かな)さんと一緒に来て欲しい』 「花那も?」  協力して欲しいと言われたのは颯真のはずだ。花那を巻き込むのならば考え直すべきかと迷った颯真に、涼真は言葉を続ける。 『……ああ、彼女の理解が得られないままお前に協力を頼む訳にはいかない。颯真はもう花那さんという大切な家族を持っているのだから』 「兄さん……」
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