安らぎと癒しに包まれて

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 涼真(りょうま)がここまで言うのなら余程の理由があるのだろう、そう考えた颯真(そうま)花那(かな)の方を見て彼女の反応を待った。傍に居るのだからきっと花那にも涼真の言葉は聞こえている筈、それでも颯真には彼女の答えなど最初から分かっていたのだが。 「私は大丈夫、颯真さんが行くというのならばついていくわ。貴方の妻として」 「……ありがとう、花那」  颯真に花那が出す答えが分かっていたように、彼女にも夫が選ぶ選択肢は想像できていた。一見冷たいようにも見える彼が、本当はとても優しい事を花那はもう知ってしまっていたから。  兄の涼真だってそう簡単に人の力を借りようとする人物ではない、出来る限り自分でやってみたが一人ではどうにも出来なかったのだろう。それを理解しているからこそ…… 「俺は兄さんの力になりたい、水曜の夜に必ず行くよ」 『すまない、二人とも。それじゃあ、また……』  プーッ、プーッと機械音が鳴ってすぐに待機画面に戻ったスマホを見つめる二人。こうして涼真からの連絡があったことは素直に嬉しかったが、自分たちの知らないところで何かが起こっている。そんな理由の分からない不安も感じていた。 「何があったとしても、花那だけは俺が守るから」 「私の事は自分で何とかするよう頑張るから、颯真さんは自分の事を優先に考えて」  お互いに相手を大事にしたい、守りたいとそう考えながら颯真と花那は涼真との再会の日を迎えたのだった。
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