協力は必然で心は揺れて

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「……それで、話っていったい? 今回兄さんが家を出たのと何か関係があることなのか」 「ああ、ちょっと待って。奥の部屋を借りれるように頼んでいるからそっちで話そう」  どうやら奥には小さな個室があるらしく、店のスタッフに案内されその部屋へと入る。中には小さなテーブルと奥にソファー、向かい合うように一人掛けの椅子があるだけだ。  普段は客が入る部屋ではなく、従業員用の休憩スペースなのかもしれない。 「ここまでしなければならない程、誰かに聞かれては困る話なんですか? 本当に私が一緒にいてもいいのでしょうか」 「花那(かな)さんは信用出来る、だが念には念を入れておきたいんだ。これは深澤(ふかさわ)カンパニーの未来に関わるかもしれない大事な話だから」 「それは……どういう事なんだ、兄さん」  まさかここで深澤カンパニーの話が出るとは思わなかった。確かに会社の次期社長である涼真(りょうま)が家出をしていることは大事ではあるが、彼が話そうとしてることはそういう事ではないような気がして。  涼真が会社の事を心配しているのだとすれば、彼が家出をしたのにはどんな理由があるというのか。颯真(そうま)と花那は静かに涼真の言葉の続きを待った。 「ここ数か月前からなんだが……深澤カンパニーのライバル企業へと、会社が極秘としている機密情報を漏らしてる社員が数名見つかっている。それも、上層部のメンバーに」 「何だって⁉」
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