協力は必然で心は揺れて

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「二人には無理なことを頼んでいると分かっているし、もちろん断ってくれても構わない。俺は今まで何一つ颯真(そうま)のためにしてやることも出来なかった、それなのにこんな事……」  涼真(りょうま)には深澤(ふかさわ)カンパニーを背負うものとしての義務があって、ずっと忙しくしていた彼が颯真にあまり構えなかったのも当然だったはずだ。そんな生活の中でも涼真は幾度となく颯真の背中を押してくれたの事を彼はちゃんと覚えている。 「そんなことはない。俺は兄さんに色んなことを教えてもらい、何度も助けてもらってきた。兄さんが俺を必要としてくれるのなら、出来る限りのことはする」 「颯真……本当にすまない」  申し訳ないと何度も頭を下げようとする涼真を、颯真と花那(かな)が二人で止める。謝って欲しいなんて思っているわけがない、今まで一人で戦ってきた涼真がこうして颯真たちに助けを求めてくれたのだから。 「謝らないでくれ、兄さん。俺たちは兄弟なんだ、助け合うのは家族として当然なんだから」 「そうですよ、涼真さん。私たち、やっとお互いに助け合うことのできる関係になったんですよ? それって凄い前進だと思いませんか」  前向きな二人の発言に、涼真がやっと顔を上げる。弟はこんなに真っ直ぐに前を向いている男だっただろうか? 物静かな印象の弟嫁はこんなにもハッキリと意思を伝えてくる女性だったのかと、驚きもあったが今の二人の方がずっと良いなとわずかに微笑んで。 「……ありがとう、二人とも」
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