20. 休憩

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「お前、息荒すぎ」 指摘されて恥ずかしくなり、キスで唇を塞いだ。 舌を絡めるうちに、梓の息もまた荒くなる。彼の昂りが嬉しくて、息継ぎの合間に笑みが漏れた。 しかし、わずかながら余裕があったのもその一瞬で、すぐに逆転されてしまう。 「あ、待って……触んないで!」 下着の中に手を入れられて扱かれると、たちまち声が上擦った。 何せここ最近は、自分ですらまともに触れていないのだ。 人の手——それも梓によって刺激されたら、ひとたまりもない。 「ほんとに、すぐ出るから……っ」 言い切った直後、本当にその通りになった。 あまりにも呆気なく果ててしまい、文太は恥じらいを隠すように、梓の胸に顔を埋めた。 「早いな」 「仕方ないじゃないですか。こっちは梓さんと違って久しぶりなんだから……」 梓は声を出してからからと笑った。 否定しないのが癪だが、笑顔はやはり可愛い。 そしてそれを見るうちに、今度は快楽で歪ませてみたくなった。 「梓さん……」 文太は彼の耳や首筋に唇を落としていった。 初めはくすぐったそうに肩を怒らせて笑っていた梓だったが、下半身に手を添えると徐々に声が途切れ途切れになり、やがて背中を反らして快楽に従い始めた。 「はぁ、はっ……」 何度か扱くうちに指先が滑ってきて、彼の興奮を実感する。 文太は鎖骨の窪みを舌でなぞり、それから胸の突起を口に含んだ。 異性にするようにしかできないから、また笑われてしまうかと思いきや、彼の声は愛撫を受けて一段と高くなった。 「あ、あ……っ」 文太は舌で刺激を続けながら、もう片方の突起を指でなぞった。 すると、彼はやがて耐えきれなくなったのか、文太の後頭部を掴むようにしてしがみついてくる。
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