24. 冒険

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やたらと冷房の効く室内では、かいた汗があっという間に冷えていく。 梓の腰も背中も、掴むと手のひらにひんやりと吸着した。 「あ……っ」 唯一、指先に絡みつく熱さだけは冷えることのないまま、文太を翻弄する。 もう、探る必要などなかった。 傷つけないようゆっくりと馴染ませた後、第二関節を少し曲げて、深く進める。 「はぁ……」 そうすると彼の体は震えて波打ち、上体は力を失った。 それでも最初のうちは歯を食いしばって、声を押し殺している。 文太の最も好きな瞬間だ。 「あっ、あ……」 指で快楽の深部を撫でると、そのうち歯の間から吐息がもれはじめる。 そのあたりで胸の突起に触れ、弧を描くように刺激しながら、今度は突くようにかき回す。 するとついに耐えきれなくなるのか、声が出る。 羞恥をはじめとしたあらゆる感覚が薄まってしまうのだろう。 「んん、あっ、あぁ……」 高くて、決して小さくはない——本能のままに出た叫びだった。 ついに我慢がきかなくなって、彼にかぶさった。 傷つけないように———— 呪文のように念じながら慎重に体をつなげて、しばらく馴染ませた後、先ほど指で探りあてたところを突く。 「はぁ……、はっ」 すると梓からはまた、高い声が出るのだった。 彼の叫びに煽られるうちに、文太からは冷静さが失われていき、ついには夢中で腰を打ちつけてしまう。 「梓さん、ダメだ、すぐいきそう。いっていい?」 「んっ、あっ、あぁ————」 ここまでくると、互いにもう、どこがいいとかどうしたら悦ぶのかなどといった細かい配慮は考えられなかった。 獣のように、本能のままに動き、叫ぶ。 果ててひと呼吸すると、また徐々に人間に戻っていくのだった。 「梓さん、体大丈夫?」 文太はそのたびに自身の余裕のなさを恥じて、梓を労った。 「うん。気持ちよかった」 しかし彼は彼で、余裕のない中でもきっちりと満足しているらしい。 体を離す直前はいつも、労いとばかりの、ねっとりとしたキスをくれた。 そして意外にも、いつも素直に感想を述べるのだった。
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