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1日のスケジュールは大体がこうだ。
毎朝、スタッフは4時ごろ起床し、まずは宿泊者の朝食の支度に取り掛かる。
朝食の提供開始は6時から。その間は配膳や後片付けで慌ただしくなる。
すべての宿泊客がチェックアウトを済ませるのが大体8時近くで、従業員はこの後に朝食、休憩時間だ。
午前中は掃除をしたり、売店で接客をしたり、食堂利用の客に食事を提供しているといつのまにか過ぎてしまう。
この時がいわゆるアイドリングタイム、比較的ゆったりしている時間帯でもある。
昼が過ぎると、その日の宿泊者が小屋に到着し始めるので、受付業務をしたり、夕食支度に追われる。
小屋の消灯は9時。
そこでやっと、従業員はしばらくの間、それぞれに自由な時間を過ごすことになるのだった。
しかし、文太は消灯後すぐに眠ってしまうことが多かった。
仕事を覚えるという名目で、ほかにもさまざまな雑務をこなしており、毎日疲れ果てていたのもある。
晴れた日には屋根に布団を干していくのだが、まずはこれが重労働。
さらに、定期的にヘリで届けられる物資の荷受けや在庫管理。
木造の小屋はあちこちが傷んでいるから暇があれば補修をさせられるし、ほかにもやれ発電機の調子が悪いだの、水の出が悪くなっただのと、不具合もしょっちゅうだ。
さらに、小屋だけでなく、周囲の登山道整備までさせられることには驚いた。
雨の後には見回って、石や倒木を退けたりもする。
なんでも、登山道のここからここまではここの小屋が整備するという、暗黙のルールがあるらしい。
休憩は毎食後に3回設けられているが、明確な時間ははっきり決められておらず、用があるたびになにかと呼びつけられるため、実質動きっぱなしだった。
——長い間、全員が男性スタッフだけになってしまっている状態も、致し方ないことなのだと、今となっては思う。
ほとんどが体力仕事だし、常に全員がフル稼働だ。
だからこそ、同性同士ゆえの気楽な部分はあった。
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