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またある日のこと。
「なんじゃお前。また来たのか」
数日ぶりに見た猫の姿に、老人は呆れるように首を振った。
「お前も諦めが悪いな。言ったろう。猫は間に合っとる。お前なんぞに癒されんでも心のすき間を埋めてくれるもんならいくらでもある。最近は“ゆぅちうぶ”で人気“ゆぅちうばぁ”の配信を観とるし、最新のゲームも買った。猫どころかクマやウサギなど動物たちがたくさん暮らす森で暮らすゲームじゃ。これがまた時間を忘れ没頭できる。絶対にばあさんがいたらできんかったやつじゃ」
そう言うと老人は徐に立ち上がり、スーパーの袋から何かを取り出した。
「てなわけで猫。お前に構っとる暇はこれっぽっちも無い。そいつを食ったらさっさとどっか行け」
密かに用意していたキャットフードを庭に置き、老人は動物がたくさん暮らす森へと出かけていった。
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