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夢にまで見る悩み事
これは夢だ。
なぜかって、猫が2本足で歩いて来るからだ。
しかしテオは夢だと気付かず、目の前で立ち止まった金色の猫の前にしゃがみ込んだ。
「お前、名前は?」
「エレン」
猫は少女の声でそう言った。
エレン。そうか、お前は幼馴染のエレンか。
テオは疑問を持たずに、猫のエレンと会話をする。
「何の用?」
「依頼よ。ハンナさんちのノアくんがいなくなっちゃったんだって」
ノア。パン屋を営む近所のおばさんが飼っている、雄の大きな黒猫だ。
テオとエレンはいつも冒険者の真似事をして、街の人たちから依頼を受けて小銭を稼いでいる。今日はハンナからの依頼らしい。
「分かった。手分けして探そう」
テオは頷いて、自宅の前からノアを探し始めた。
名前を呼びながら建物の隙間を覗き、すれ違う人たちにも聞いてみる。しかしそれらしき姿は見つからず、目撃情報もない。
いつの間にか空が赤く染まり始めていて、テオは一度戻ろうと振り返った。かなり歩いたはずなのに、そこは最初と同じ自宅の前。
テオは目を疑った。
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