夢にまで見る悩み事

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「……!!」  落下したような感覚で体がビクッと動き、目が覚める。今の夢について何か思うより先に、1階から父親が呼ぶ声に意識を持っていかれた。 「テオ、テーオ!! 起きろー!」  まだ起き切っていない体を無理矢理起こして階段の上まで行き、階下の父に眠そうな顔を見せた。 「なに……」 「エレンちゃん、来てるよ!」  ああ、と思ってテオは一旦自室に戻り、適当な服に着替えて1階に降りた。入り口では幼馴染のエレンが待っている。 「おはよう。よく眠れたかしら?」  眠そうなテオの顔を見てエレンは笑う。テオは質問に答えず、逆にエレンに質問した。 「チビ嫌いなの?」 「はぁ?」  唐突なテオの発言に、エレンは心底意味が分からないという顔をした。 「あんたがチビなのなんて昔から知ってるわよ。今さら嫌う訳ないでしょ」 「俺の話とは言ってない」  テオは自分は決してチビじゃないという意味を込めて、不機嫌そうに反論した。エレンは呆れて肩をすくめる。  テオはなぜ急にこんなことを言い出したのか自分でもよく分からず、眠気を振り払うように頭を振った。 「なんか変な夢見たっぽい」 「へえ、どんな?」  そう聞かれて、夢の内容を思い出そうとしたが、起きる直前にどこかから落ちたことしか思い出せない。 「……忘れた」 「なによ、つまんないわね」  エレンは不満げにため息をついた。テオはようやく起きてきた頭で、エレンに来訪の理由を問うた。
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